ま、適当に

思いつきで書くよ

放射線量(3/4)

ここで質問です。ほうれん草Aから1kgあたり2万ベクレルのヨウ素が検出されたとします。また、ほうれん草Bからは1kgあたり2万ベクレルのセシウムが検出されました。これらをそれぞれ食べちゃった場合、人体にとってより危険なのはどちらでしょうか?

・・・もうお分かりですよね。ほうれん草Bです。(これまで述べてきた情報から判断すれば、という前提付きですが。)

ヨウ素とセシウム、それぞれ核分裂して安定した物質へと変化いたしますが、2つ前のエントリーで書いたとおり、その分裂するペースが異なります。復習していきましょう。半減期が8日と30年ですから、ザックリと言うならヨウ素の方がセシウムより1,400倍もの早さで核分裂します。ヨウ素はとっとと核分裂して、とっととなくなるわけです。一方、これを物量という観点から見るなら、同じベクレル量なんですから、分子の数はセシウムの方がヨウ素の1,400倍くらいあるということになります。(うそ臭いけど・・・)

数的には1/1,400しかないヨウ素の方は、物理的な半減期に基づいて体内にて8日間で半分の1万ベクレルにまで落ちますが、セシウムの核分裂量は物理的にはほとんど落ちません。なんたって1,400倍もある分子が30年かけて半減して行くような余裕綽々のペースで核分裂を続けているわけですから、この値が数日で落ちたりはしないのです。毎日毎日、同じような量の核分裂が続きます。その代わり、既にご説明申し上げましたとおり、生物学的半減期っちゅうものがありますので、セシウムの方はこれに基づいて落ちていきます。即ち、70日間で半分の1万ベクレルになるわけです。ヨウ素の8日に対してセシウムは70日。同じ放射線量でも半減するのにかかる日数が9倍違う。これ即ち、トータルの被曝量が9倍違うってことです。ここまで、よろしいでしょうか?

被曝量が9倍、だからほうれん草Bの方が危険。最初にそう結論付けたわけですが、・・・・実はこの結論は早計です。被曝量が9倍というのは事実ですが、それが危険度とそのまんま比例するわけではないからです。これを紐解くには、あと2つのパラメータを追加する必要があります。「生体における分布」と「臓器感受性」です。

たとえばヨウ素とセシウムではそれぞれ身体内の集積部位が異なります。それぞれよく知られているところですが、ヨウ素は甲状腺に集積し、セシウムは筋組織に集積します。てことはですよ、ヨウ素は首筋のあたりに集中して集積するのに対して、セシウムは身体全体に散らばるということでしょ?身体全体に薄く広まるよりも、決まった部位に集まった方がやばいことはお分かりですよね?

更には組織によって放射線感受性が異なります。同じ放射線を浴びたとき、甲状腺と筋組織のどちらがより大きなダメージを受けるのでしょうか?・・・甲状腺です。筋肉の放射線感受性は大変低い。定量的にどれくらいの差なのかまでは存じ上げませんが、とにかくこの点からもヨウ素の方のやばさが増して行きます。

というわけで、これら全ての情報を総合しての結論。・・・・そんなこと、分かるわけありません。つーか、同じベクレル数でどちらがやばいかなどというこんな比較自体にあんまり意味がありません。「自分で設問作っておいて、何を言ってやがる!」と怒られること必至ですが、言い訳をさせていただけるなら、こうした考察プロセスを味わっていただければと思ってこの設問を作りました。この例を見れば、様々な考察パラメータによって結論が左右されることがお分かりいただけるかと存じます。マスコミの記事なんて、頭の悪い記者の書いた考え足らずの間違いも多く含まれますからね。「こいつアホか」とすぐに判断できるような偏差値の低い記事を、あなただってたくさん見てきたでしょう。となるとこれはもう、自分の頭で判断するしかないわけです。その練習ですよ、これ。・・・・ってう~む、あまりに上から目線過ぎて、我ながら偉そうにするにもほどがありますよね。すいません。

ともかく、簡単にまとめますと、ヨウ素というのはやばい状況になる度にドバッと出てくるもので、なくなるスピードも早い。人体への影響も”甲状腺がん”という直接的な影響が問題視されることになると思います。一方のセシウムは、その性質から短期の被曝よりも蓄積性が問題となります。集積されるのは筋組織なのかもしれませんが、影響が出るのは筋組織ではなく、筋組織の近隣にある放射線感受性が極めて高い造血組織(骨髄)とか生殖器とかになるのではないでしょうかと。あと問題となるのは”土壌”、ですかね。

チェルノブイリの原発事故で人体への影響として問題となったのは、やはりヨウ素による甲状腺がんでした。また、今でも広い範囲で立ち入り禁止区域があるようですが、こちらの原因はおそらくセシウムのように半減期の長い放射性物質によるものでしょう。福島の場合にも同様のことが言えようかと存じます。大量の放射性物質が大気中に一気に出てくるようなことは避けられているようですから(情報を隠蔽してなきゃ、ですが)、もし今のような状況のままで推移するなら、ヨウ素の方はあまり心配することはないように思います。ただ、いくら時間当たりの放射性物質の漏れが少なくとも その制圧に時間がかかるとなりますと、半減期の長いセシウムは蓄積によって放射線量がドンドン増加する一方でしょうから、冷却まで6~9ヶ月かかると言われている福島の場合は、ヨウ素などよりも土壌中のセシウムの方がずっと重要なパラメータになろうかと存じます。

以下余談ですが、先週末TVを見ていたら、原発周辺の立ち入り禁止区域が将来的にどうなるかについての議論の中で、「土壌表面を削ればいい。放射性物質は土壌深くにまでは浸透しないから、土壌表面の2~3cmを削れば安全な状態になる。」なんてこと言ってる学者のオッサンがいました。わたしゃ脊髄反射的に「このジジイ、アホか」と思ったわけですが、こいつ、山ってものを見たことがないのでしょうか。おそらく、田んぼとか畑とかの表面を削ること(だけ)をイメージしての発言なのでしょうが、想像力がないにもほどがあります。あんな森林だらけの村々で、木々を掻き分けながら放射線を吐き続けている全ての土壌表面を誰がどうやって削るってんだ、ボケ!その削った高濃度セシウムまみれの土をどこに捨てるってんだ、タコ!おいらの同級生にも学者になった阿呆はいっぱいおりますけど、さすがにこれほどしょうもない野郎はおりませんよ。

・・・出来の悪い学者なんてこんなもんですから、皆様お気をつけください。(こんなバカ、TVに出すなっての!)

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  1. 2011/04/21(木) 21:02:23|
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