ま、適当に

思いつきで書くよ

オペラ

私はその昔(といっても、たった数年前のことなのですが)、「オペラなんか何が面白いんじゃ?」と思っていました。

まず何だか無理矢理こじつけたようなその陳腐なストーリー。どれもこれもくだらないものばかりで、よくもまあ恥ずかしげもなくまじめな顔してこんなものを演じ、あるいは鑑賞できるものだと感心していたのです。おまけに、大時代的なクラシックの歌手が妙ちきりんな衣装を着て、そのしょうもない物語にあわせて「ハ~~~~レ~~~~ホ~~~~レ~~~~」などといい気になって歌っています。「アホか!」と思ったものでした。

そもそも私には声楽というものがよく分からなかったのです。あんなへんてこな歌い方の音楽を聴いて、何が楽しいんだろうと思っていたのです。その気分は未だに残っていて、「やっぱキョンキョンの歌声が世界一」なんて考えているくらいですからね。(威張るなっての)

そんな私がオペラを聴き始めました。”聴き始めた”というのは、映像ではなくCDから入ったからなのですが、それはともかく、何故こんな羽目に陥ったかと言うと、ある友人からの勧めがあったからなのでした。

「オペラ、おもろいで。」
「どこがやねん?」
「とにかくおもろいで。」
「よっしゃ、一念発起して理解したるワイ。」

このまるっきり遊びのない極めて事務的・合理的な会話を発端に、私のオペラへの挑戦が始まりました。

それ以来、この友人が送ってくれたヴェルディ作曲の「リゴレット」というオペラを精力的に聴き始めました。

この曲のストーリーは、貴族に仕える道化師リゴレットが自分の娘をその貴族(自分の主人)に陵辱されて(まあ簡単に言うとやられちゃったわけですね)、復讐のため殺し屋を雇ったらその殺し屋が間違って自分の娘を殺しちゃった、という阿呆丸出しのお話なんですね。

最初は当然苦痛でした。何度聞いても退屈の極みで、何が面白いんだか全然分かりません。

「どこがおもろいねん、これの。」

その友人に何度このセリフを投げかけたことか。でもその返事は「歌手の歌声の妙を楽しむ」だの「情景を想像しながら歌声にこめられた魂を聞く」だのと、ことごとく訳の分からんモノでありました。

だいたい、この曲は悲劇のはずなのですが、映像のない音だけで聴いているとなぜか私には喜劇に聞こえるのです。最初は「ドラえもんとのび太の大冒険」の映画音楽かと思ったくらいです(これ、ホント)。やはり暗黒の時代を表現した管弦楽曲、例えばショスタコーヴィチの交響曲などと比較すると、オペラってのは相当軟派です。

総計で20回は聴いたでしょうか。どこでどのような音楽が流れてくるのか既に完全に覚えてしまい、そののんきな音楽に慣れた頃、ようやく次のオペラに進出することが許されました。

友人より試聴を許されたリゴレットに続く曲、それはプッチーニ作曲の「トスカ」でした。

このお話の登場人物は、嫉妬深い宮廷歌手のトスカとその恋人のカバラドッシ(なんちゅう名前じゃ)。そこにトスカに横恋慕する悪代官(?)のスカルピアが現れて、なんだかんだあってみんな死んじゃう、というストーリー。(これじゃワカラネエっての)

トスカの有名なアリア「歌に生き、恋に生き」は、その昔、ニューヨーク近辺にお住まいだった方なら耳に残っていると思います。TVの日本語放送で、毛筆で変な丸を書く”鎌倉・源吉兆庵”のCMの裏に流れている妙な女声の曲。あれです。(こんな曲をCMのBGMになんか使うなっての)

こちらは全曲を通じて結構すんなりと聴けました。といっても、曲自体はある意味しょうもないんです。プッチーニとヴェルディとの力量の差と言ってしまえばそれまでなのですが、その旋律があまりにギクシャク、ゴツゴツしていて、まるで音大作曲科の落第生が作った卒業曲みたいでして、明らかにプッチーニには力量がないことが分かります(こんなこと言っちゃっていいのかな?)。リゴレットとは比較にもなりません。でもなぜか私はすんなりと聴くことができたのでした。理由はよく分かりませんが、ギクシャクしているところが私には刺激的だったからかもしれません。

とまあ、細かい話しは抜きにしても、とにかく管弦楽曲としてはトスカは聴くに堪えたのです。でも声楽としては・・・?相変わらずよく分かりませんでした。

こちらも結局20回くらい聴いたでしょうか。
「こりゃ、脈なしかな。」

全然次を聴こうという気が沸き起こってこない現状に半ば諦めかけた頃、ふと思い立って10年前くらいに録画してお蔵入りしていたクラシック関係のビデオを引っ張り出してきて、久しぶりに見てみました。これにはマーラー2番やウェストサイドストーリーが入っているのですが、これをみて寒気が走ったのです。

「ゲロゲロ・・・・・声楽が私にも分かる!」

マーラー2番のアルトを歌うジェシー・ノーマン、ウェストサイドストーリーのマリアを歌うキリ・テ・カナワ(ソプラノ)。以前には曲のおまけくらいにしか考えていなかった声楽が、今、今日、この瞬間、こちらの胸のうちにビンビン響いてくるではありませんか。(大げさだっての)

「これはもしかして・・・。」

オペラ2曲を散々聴き込んだ結果、オペラ自体には「なにがおもろいねん」という感覚から脱却できなかった代わりに、歌手の声の良し悪しというか、以前は全て同じに聞こえていたクラシックの声楽に対する自分の好みが認識できるようになっていたようなのです。

「このジェシーノーマンはすごい。」
「このキリ・テ・カナワは絶品だ。」

今ではそう主張できる自分がここにいます。というわけで、調子にのって再度リゴレットとトスカに戻ってみました。

でもダメなのです。相変わらずオペラは分からない。

月日は流れ、ヴェルディのオテロ、プッチーニの蝶々夫人などが追加で目の前を流れ去っていきました。にもかかわらず相変わらずオペラが分からない状態に身を任せていたある日、ほとんどやけくそでワーグナーに手を出してみました。

「ワーグナーは大嫌い。なぜなら大河ドラマみたいだからだ。どこでどのように盛り上がるのかが事前に分かってしまう。”こうだろうな”と予想したとおりに曲が展開する。聴いていて安心だ。映画で言うならハッピーエンドが約束されている米国映画、山登りで言うなら家族で登れるお子ちゃまルートをちんたら登っていくのに似ている。日本人に限らずこういうのが好きな人は多いであろう。が、私にとっては”退屈”以外の何者でもない。」

タンホイザー序曲やマイスタージンガー序曲などの限られた楽曲を聞いて前々からそう公言してきた私なのですが、オペラを通して聴いたことがなかったのもまた事実(嫌いでしたからね)。そこで、ちょっと聴いてみることにしたのです。
聞いてみたのは”ラインの黄金”という曲です。で、プレーヤーにCDをセットしてプレイボタンを押しました。

ガビ~ン!

文句なくすばらしい音楽がそこにありました。
まずコントラバスの低音で始まり、少しずつ発展するものの決して変調しないナゾかけみたいな序曲がもういきなり私好み。ラインの黄金が輝くテーマはあまりにしみじみとしすぎちゃってて、もっと鮮やかでいいんじゃないかなんて思うんですけど私好み。巨人族の登場の音楽なんか、あまりにわかりやすくて小学生が作ったみたいで笑っちゃうんですが私好み。鍛治のリズムはしつこいからもう繰り返さなくていいってばって思うんだけど私好み。・・・

ワーグナーって天才だったんですね。早速スコアを買ってきて眺めてみたのですが、あれだけの仕掛けを冗長に陥ることなく全曲に渡ってちりばめることができるその才能と実行力は、とても凡人には真似できないものです。ワーグナーと比べてしまうとヴェルディは鼻くそ、プッチーニなんかどぶねずみの糞と言えましょう。(いいのか、こんな事書いて)

ワーグナーのおかげでドイツ・オペラというものの面白みが分かるようになったようなのですが、問題は未だに能動的に聴き込もうという気になれないヴェルディやプッチーニなどのイタリア・オペラなんです。これを心から分かるようになるにはどうすればいいのでしょうか?誰か教えてくれませんか?

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  1. 2008/02/01(金) 21:09:29|
  2. クラシック音楽
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

麻薬ですな。

あの、その後ベルディはやっぱりだめですか。もうイタリアオペラの鈍臭いズンチャズンチャっていうリズムと甘々な歌声聞くとホットする身なんで、(ワーグナーは好きになれない体質、例外はヴェーゼンドンクの歌でしたっけ、歌曲ですね。)たまたまブログを読ませて頂いたので、気になって。

やはりオペラはライブでないとドップリ浸かることには容易にはなれないのではないかと思います。

あたしの場合は、やはり幸運な出会いがありましたよ!

大昔ロイヤルオペラハウスが来日した時に、友人がいいよーっていったんで、行ってみたのが始まり。はまった。
最初のオペラがもしモーツアルトだったら、あかんかったかも。でもそれがブリテンのピーター・グライムスって、20世紀のやたら暗い話だったから、よかった。弦楽器と女性コーラスがやたら美しかった。で、オペラってすごいかもって盛り上がった翌年に、ベーム➕ウィーン国立歌劇場が引越公演!(ベームは翌年亡くなった。) まず、フィガロの結婚に行った。そしたらレコード録音かっていうぐらいのキャスト(当然後でわかったわけですが。)できてたんですね。もう、上野文化会館4階正面で、彼らの歌声が脳幹部直撃、快感が全身をめぐって、なんだ、これゃー、とまあ興奮のるつぼ。すごいことになった。それから、リヒャルト・シュトラウスのナクソス島のアリアドネのグルベローヴァをきいて、コロラトゥーラソプラノのこれまた理性でない皮膚感覚に訴えられて、この想像を絶する世界にどっぷりはまり込んだ。更に翌年ミラノスカラ座がやってきた。しょーもないNHKホールの3階後ろの方で、ドミンゴのすさまじいオテロの美声に脳天やられた。デズデモーナのミレッラ・フレーニの柳の歌の美しく哀しい歌にノックアウトされたもんです!

声そのものが快感。これがオペラの基本かなぁと。でも、そのためには全てが整ってないとならないんですよね。オケと演出と。そもそもストーリーはチンケなことが普通。オペラのもともとは神話の世界から始まっていたはず。でも、音楽の盛り上がりのためには、ストーリーはないとなりません。演出もいけてないといらいらして音楽に集中できないんですね。
でも、視覚的な要素があって、やはり歌を100%楽しめるんですね。演奏会形式じゃ物足りないんですよ。

オペラはやっぱり貴族時代→資本主義の勃興期という時代に限定されるエンタメですよね。
でも、この喜びを経験すると抜けられない。そういう体になっちゃうぅー。アハン。

で、ベルディはやっぱりいいんですよ。全部じゃないけど。やはり後期の作品が完成度は高いですよね。
また、水っぽいけど、プッチーニも捨てられない。やはりこれは個人の好みなんでしょうねえ。理屈より感覚。

私はフランスの映画や文学にほとんど興味がないのに、オペラは好きなんですよ。カルメン!あー隅から隅まで好きですよ。それからサン・サーンスのオペラも大好き。ほんと、自分でもよくわからないですが。

で、ラフマニノフ好きなのにロシアのオペラはまったくだめ。楽しめない。ドイツはワーグナーはほとんど楽しめず、リヒャルト・シュトラウスになっちゃう。

今年はロイヤルオペラハウスが来るのでいくつもりです。それから小澤の演奏会形式のラベルのオペラにも。2015年1月21日記


  1. 2015/01/21(水) 22:55:34 |
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  3. waiwai #-
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