ま、適当に

思いつきで書くよ

篆刻

今、書道作品の名前の下に押す赤いハンコ、いわゆる「篆刻」ってやつを作ってます。以下、その記録です。

まずは下記の材料・道具を準備します。

● 篆刻用石材(印材)(桜木町にある書道店のワゴンセール:250円×3本)
● 耐水紙やすり800番(近所のホームセンター:1枚98円)
● 黄色のマジックインキ(最寄りの駅ビルにある有隣堂:1本120円)
● 彫刻刀(こたろが中学校で使ってたやつ)

最初はどうせうまくいかないだろうから消しゴムとか使って練習しようかとも思ったんですけど、実際には3本分の材料で1,000円しなかったもんですから、練習も兼ねていきなりぶっつけ本番で作り始めることにしました。

材料の用意が整ったら、早速検字、印稿作りと進んでいきます。

押印した時の字面をどんな字体にするかってのも篆刻の醍醐味の一つみたいなんですが、おいらったら掛け値なしにそちらの知識も才能も皆無なもんですから、実はちょっとだけ困りました。どんなに無能だったとしても、まさかネットにある字体をそのままパクるなんてことは許されないでしょうし、そもそもそんなことしてたら篆刻を自分で行う意味自体なくなってしまうので、下手だろうがなんだろうが自力で作る以外にありません。

ネットにある「篆刻入門」的なビデオ等を見てみると、「何でもいいからとにかく筆で書いてみろ」的なことを言ってくれちゃってます。ただそんなのは筆を満足に使える人の一方的な言い草にすぎず、書道が苦手な人なら思いっきりご共感いただけるかと存じますが、筆先をうまくコントロールできない書道的才能絶無のおいらが慣れない筆を持って書いてみたところで、不細工でベチャついたバランス激悪の愚鈍な文字を量産するだけで、まともな形になどなるはずがないんです。

それならばもう自分に最も合ったやり方で自分にできることをするしかない、ってことで、おかんの名前の文字が篆刻の字体ではどのように表現されるのか基本的なところを調べ、Photoshopで篆刻フォント文字をベースに部分部分上下左右に拡大・縮小したり、線を引いたり消したり方向変えたりとあちこちいじくりまわしながら、おいらなりにそれっぽい字体を捏造(?)してみました。

そんなわけで、あまりに阿呆であるがゆえに、もしかすると篆刻の基本を無視したようなあり得ない字体を作っちゃってるのかもしれませんが、今のところは篆刻入門ビデオの講師のじいさんが言っていた「印稿に決まりごとはありません」という一言を信じて、誰かに正しく指摘されるまではこのまま突き進むことにします。

この検字・印稿作業ってのは文字一つ調べるにもちょいと時間がかかりますんで結構面倒くさかったんですけど、その一方で「意外とこれ、はまるかもしれない」といった面白味を感じちゃったりもしました。文字のデザインプロセスを全てフォトショ上で行うなんておいらくらいなんでしょうけど、その世界の先駆けとなる斬新的な先進性(?)が気にいったのかも。この勢いでもし篆刻文字の原則的なことやその善し悪しまでをも理解できちゃった暁には、おいら作の篆刻ってやつは天才的芸術の域へと昇華しちゃいそうな予感がします。と言っても、ぶっちゃけいつまでも理解できなくて消えて行く予感の方がずっと強いけど。

印稿が出来上がったら、次は布字です。布字ってのは印材に印稿を書き入れる作業のことで、そのやり方にはいろいろあるようなんですが、おいらは最も簡単にできそうなマジック転写法ってやつでやってみました。(本法の詳細はググってみてください。)

印稿をいくつか並べた画像ファイルを作成し、我が家のインクジェットプリンタ(激安インク)でこれをA4コピー紙に印刷。それを印材にあてがって上から黄色いマジックインキで塗りつぶしていくんですが、なぜか印材には文字が全然転写されません。あれ?おかしいな?とばかりにちょいと逡巡したんですが、再びネットをさまよってみたところ、転写はインクジェットのインクではなくコピー機のトナーを使わなければならない。即ち印稿をコピーしないと布字はできないってことが分かりました。

てことで、翌月曜日には印稿をコピー。それからちょいと間をあけちゃいましたが、その5日後の週末土曜日、改めてマジックを使って転写を試みました。が、写るには写ったんですけどなんだかとっても薄いんです。そのまま削る作業に入るにはちょっと無理があるくらいのレベルだったので、しょうがねえから上から油性黒マジックでなぞって書き足しました。ただ、その際に手元にあったちょいと太めのマジックを使ってしまったため、フォトショ上の作業で唯一こだわった線の細さ太さという「筆運びの味」みたいなものを無神経に塗りつぶしてしまう結果となってしまいました。

濃く写らなかったのは「コピーしてすぐじゃなかった」、そして「トナーの量が足りなかった」という2つの理由があったためだと思われますので、次回はコピーの濃度を最大にしてコピーし、同日に転写しちゃおうと思います。念のため、追記用の油性極細黒マジックも用意してね。

さて、布字を完了したら、いよいよ印材に文字を彫る運刀作業へと進みますが、篆刻にはね、白文と朱文という2種類の彫り方があります。

白文は文字部分を彫るやり方です。押印した時に文字部分は白いままで、文字周りの余白部分が印泥で朱色になるものです。もう一方の朱文は白文とは逆に余白部分を彫るもので、文字部分と印の外枠部分が朱色になります。(文字部分のみならず、外枠の部分も彫らずに残します。)

練習も兼ねた最初の作品は、もちろん単純に文字を彫るだけの白文の方ッス。朱文だと文字ばかりか細~い印の枠までちゃんと残した形で彫らなければならないので、初めての作業としては到底無理だと思ったからです。

実際に文字を彫り込むためには印材を固定する必要があります。そのために使う「印床」とか「篆刻台」と呼ばれる木製の万力のような固定台がありまして、書道店にて2,000円くらいで市販されています。でもこれ、実際の作業を想定して改めて評価してみると、作業中の印材の位置がテーブル面より高すぎる上に彫刻刀を持った右手の置き場にも困ることがすぐにわかるような代物なんスよ。実際の運刀作業のユーザビリティを全く考慮に入れてないような、篆刻作業に愛を感じていないおバカが何も考えずに作ったようなこんなぼったくりの出来損ない商品を、”創意工夫”を座右の銘とする天才のおいらが購入するわけがありません。

ではどうしたかっつーと、・・・・逝っちゃった内蔵HDD2台を使いました。

2台のHDDを寝かせた状態で印材をダンボールで保護しながら挟み込み、布製のガムテープで2台のHDD外側部分を印材が動かないように締めつけるながら固定する。これだけです。ご承知の通り、内蔵HDDってのはソコソコの重量感と厚みがあり、高さ的にも印材が少し上に突き出た丁度いい安定台となりますので、運刀にはもってこいの作業環境が出来上がります。固定がゆるんだり印材のサイズの違いなどからくるガタつきにはダンボールの切れ端を差し込んで対処する。このフレキシビリティ。市販の出来損ない印床などより、こっちの方がケタ違いにいいッス。あ~ホント、天才でよかった!

てことで、あとはもう削るだけです。

運刀に使う彫刻刀ですが、最初はこたろが中学で使用していたものを廃物利用するつもりでした。ただ、石を彫るには強度的にあまりにも頼りなかったので、実は先般桜木町に行ったついでに、ワゴンセールで200円だった篆刻用の印刀を1本買い足してきたんです。で、最初はこの別名鉄筆とも言う印刀を使って彫り始めたんですけどね。ビデオで見たのと違って全然削れません。

「石ってこんなに削れねえもんなんかい!」

そう言いながら力を入れて悪戦苦闘してたんですが、疲れるだけでなかなか前に進まない。そのうちこの作業自体に嫌気がさしてきちゃったもんですから、これじゃいかんと気分転換も兼ねてこたろの彫刻刀に持ち替えてみたんですわ。するってーと、これがナント、こっちの方が全然削れるじゃあ~りませんか。鉄筆の方は刃先が十分鋭利じゃなかったのかもしれませんが、それにしたってこれはない。おいらはもうすぐにこのカッコばかりで全然使えない鉄筆を投げ捨て、こたろ彫刻刀で最後まで彫り進めました。

彫れる彫刻刀さえ手に入れてしまえば、あとはもう一直線です。こういう手先の器用さがモノを言う工作作業ってのは中学時代に技術家庭の実技で学年トップに君臨し続けたおいらの独壇場であり、今さら説明なんぞ要らないでしょう。あっという間にコツをつかんだおいらは、一本を彫り終わる頃にはもうほとんどプロフェッショナルなレベルへととてつもない進化を遂げていました。

一通り彫り終えたら押印してみます。で、不満だったら更に彫る。この修正作業のことを補刀というらしいんですけど、この補刀サイクルを満足いくまで回し続けます。

実際に補刀を入れる機会が多いのは、印の外枠に当たる四辺でした。そのままだとあまりに直線が過ぎちゃって違和感バリバリですからね。古い感じを出すために四辺をわざと欠けさせるわけです。文章で書くとそれだけのことなんですけど、実際にやってみると彫刻刀ではなかなかうまくいきません。が、ここで先ほど投げ捨てた鉄筆が活きました。刀の方じゃなくてただ鉄がテキトーに切られた反対側を使って、四隅四辺を大雑把にガリガリと削ったり不規則に叩いたりしていたら、ドンドンいい感じになっていきました。今ここにあるものを使って最善の結果を叩き出す。やはり、天才は天才ってことですね。

ちなみに、石を削るというこれらの作業、彫り足りなきゃ更に彫ればいいだけですが、彫りすぎたらどうあがいても修復不可能となってしまいます。よって、どうしても弱気になってカリカリちょっとずつ彫るみたいな刃の入れ方をしてしまいそうになるんですけど、そんなやり方をすればするほど線に変化がなくなり芸術性が損なわれ、つまらなさばかりが増幅していくような気がします。たった一回の経験でこんなことを言うのも大変面映ゆいのですが、多少の彫り過ぎなどは気にせずに大胆にグイッと力を入れて彫っていった方が、全体としていい作品に仕上がるような感じがします。

最後に、押印の際に親指が当たる石材の側面(印材を押印の位置に置いたときの左側側面)に目安となる彫りを入れて完成となります。こいつは印を押す際に方向を間違えないために入れるもので、彫ってあることさえ分かれば何を彫ってもいいとのこと。それも側面の片隅に「親指の先がちょこっとざらつくかな?」程度に何気なく入れるのがオシャレってことらしいッス。ただまあこれ、あまりにオシャレがすぎて、押印の方向を間違えてしまう老人が後を絶たない悪習とも聞いています。

ご承知の通り、おいらったらあやふやなことが大嫌いですし、人一倍不合理を憎む性格をしてたりもするので、「篆刻なんぞにオシャレもへったくれもあるかい!」とばかりに、思いっきりわかりやすくでっかいひらがなで、左側側面のど真ん中におかんの名前を彫り込んでやりました。おかげさまでこれ、見た目は相当不細工な感じになりましたが、どんなに指先がパサついて微妙な感覚を失いつつあるご老人の方々でも、押印の方向だけは絶対に間違いようがないものに仕上がりました。(おかん以外に押す人はいないんだけどね。)なんだか阿呆な慣習に一石を投じることができたような気がして満足してます。

以上のように、最初の材料集めから2週間くらいの期間をかけて完成を見たことになるこの作品なんですが、落ち着いて眺めてみればやはり相当ヘボいッス。

何がダメって、基本デザインが決定的にダメっしょ。字はなんとなく篆刻っぽいし、削り損ねもないからなんとかみられるような気がする感じではあるのですが、言い換えればただそれだけ。マジックのせいで線の太さをコントロールできていないってのも立派な弱点の一つとしてカウントされる要素ではありますが、それよりも何よりも、あまりに余白がなさすぎる。そこに尽きまする。

書道にせよ篆刻にせよ、何が大切かっつーと字と余白とのバランス、言い換えればいかに「余白の美」を表現するかが勝負の分かれ目でしょ?誤解を恐れずに言うなら、余白を描ききっての芸術なんですよ。(って、筆を満足に使うことすらできないド下手初心者の分際で、偉そうにするにも程がある?)それがもうこいつときたら全然ダメで、枠の中にただギチギチに文字を入れただけの余裕のない愚作。そんな感じなんだもん。印泥使って押印してみて改めてよく理解できました。おいらったら、もっと修行するッス。

てことで、白文の練習はこれでお終い。来週あたりからボチボチ朱文に着手してみます。修業も兼ねてますんでね。特にデザインには時間かけますです。完成目標は春。焼き上がった皿が気に入らなければ自らたたき割ってしまう陶芸家のように、おいらも石材をいくつかボツにする予定。

んじゃ。

スポンサーサイト
  1. 2017/01/23(月) 22:36:10|
  2. その他
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<おんな城主 直虎 | ホーム | 日本製マッコリ>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://yutakota.blog34.fc2.com/tb.php/685-afcbfeca
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ゆたこた

Author:ゆたこた
サッカーと写真と車等々について書き散らかします。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる